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09September2019

戦略的な観光施策の推進

1 戦略的な観光施策の推進
(1) 観光客ニーズの把握について
(2) ビッグデータの活用について
(3) キャッシュレス決済の推進について

◆15番(今井ゆうすけ) 〔登壇〕
 こんにちは。会派開明の今井ゆうすけです。
 今回は、観光施策について質問いたします。
 さて、いよいよラグビーワールドカップが今月20日に開幕し、東京オリンピックにおいては1年を切りました。観光庁がまとめた平成30年訪日外国人旅行者数は3,119万人で、6年連続で過去最高を記録し、この10年で3.7倍になりました。観光庁の訪日外国人消費動向調査によりますと、ことし上半期だけでなんと2兆4,326億円となり、過去最高額となっております。インバウンド需要をどれだけ取り込むことができるのかが、地域経済を大きく左右することは論をまちません。
 本市においても、国内観光需要の低迷や地域の活力の低下が予測される中、インバウンド観光施策の推進が、地域に観光収入の増加、雇用と地元企業の成長等をもたらし、地域の活性化に大きく寄与することが期待されています。本市の状況としては、市内観光入り込み客数は20年間で約230万人減少しました。一方で、外国人延べ宿泊者数は、平成23年は1万7,274人だったものが、平成30年は17万1,508人と、年々右肩上がりに増加しております。
 このように観光を取り巻く環境は劇的に変化しており、超少子高齢型人口減少社会の進展は、今後ますます厳しさを増し、将来は必ずしも楽観視できない状況です。こうした変化の中で、将来にわたり持続可能な観光地としていくために、限りがある予算の中で戦略的な観光施策の推進を図る必要があります。
 そこで、旅行需要、とりわけインバウンド需要を取り込むため、限られた予算で効果的なプロモーションを実施するに当たり、どこから来ているのか、何を求めているか等のデータが必要と考えますが、データをどのように把握しているのでしょうか。

○議長(村上幸雄) 小原商工観光部長。

◎商工観光部長(小原直樹) 〔登壇〕
 お答えいたします。
 観光動向等のデータにつきましては、基礎データとして、観光入り込み客数や外国人宿泊者数、また、団体バスの国別台数、観光案内所国別利用者数を調査しておりますほか、平成28年度には外国人観光動向調査を実施いたしました。この外国人観光動向調査では、来訪者の属性や松本での観光行動、また、観光地情報の取得方法などを調査しております。また、市内の宿泊者数が最も多い台湾につきましては、平成15年から現地の旅行博に出展をしておりますが、その際、ブース来訪者に対し、松本の認知度や旅行目的などのアンケート調査を行っております。その他の国・地域につきましては、日本政府観光局の賛助団体として最新の市場データを入手する中で、動向の把握に努めているところでございます。
 以上でございます。

○議長(村上幸雄) 今井議員。

◆15番(今井ゆうすけ) 〔登壇〕
 ただいまご答弁いただいた外国人宿泊者数では、平成20年から11年連続で台湾人が1位となっております。しかしながら、さまざまな調査を行っておりますけれども、現状では、台湾のどこからどのようなルートで松本に来ている人が一番多いのか、性別、年齢等、どんな人が一番松本に来ているのか、何が一番の魅力で松本に来たのか、松本に来てみてどうだったのかなど、実態やニーズが把握できていない状況です。このようなことがわかれば、来訪者の多い発地地域や性別、年齢、趣味関心等、より明確で詳細にターゲットを絞った誘客施策の実施が行えます。特に、デジタルマーケティングを活用することで、少ない予算でも効果的なプロモーションが行えます。
 本市としては、昨年、松本市観光ビジョンを策定し、それに沿って宣伝しております。課題としては、マーケティングの基本である、「誰に、何を、どうやって」の部分、「どんなターゲットに、何のメッセージを、どういった手法で伝えるのか」をより詳細で具体的に定めることが必要と言えます。
 まず、「誰に」の部分では、国籍や住んでいる場所、年齢等を絞る必要があると考えます。例えば、19の国・地域をピックアップしておりますが、現状では全てに宣伝ができているわけではありません。全てが理想ではありますが、限られた予算の中では、選択と集中も必要です。例えば、本市ではロシア専門旅行会社への委託により誘客活動を行っておりますが、平成30年外国人宿泊者数を見ますと、ロシア人は20位で595人です。一方、1位の台湾人は2万1,087人という結果で、圧倒的な差が出ています。上高地での外国人宿泊者数では、ロシア人は8人だけで、台湾人は2,370人です。税収が減り、扶助費がふえていく中で、戦略的に今後の施策を推し進めなければなりません。
 次に、「何を」の部分では、選定したターゲットにとって最も興味のある部分を伝えていくことが必要です。インバウンドの視点で、松本に根づく価値や魅力を徹底的に洗い出した上で、ターゲットにとって何が最も訴えるべき価値なのか取捨選択をする。世界じゅうの観光都市との競争に勝つためには、差別化しながらわかりやすく表現し伝えることで、松本を選んでもらわなければなりません。
 そして、「どうやって」の部分では、「誰に、何を」の部分が明確になって初めて、どういった手法で伝えるのかを検討すべきです。そうでないと、ターゲットを選定しているところには勝てません。ターゲットを選定し、その特性を把握した上で、最も効果的な手段は何か、発するメッセージを正確に届けられるよう、プロモーション手法を検討することが必要です。
 このようなことをはっきりさせるために、旅行者の実態やニーズを把握する調査が必要と考えますが、次回の観光ビジョンに反映できるよう取り組めないでしょうか。

○議長(村上幸雄) 小原商工観光部長。

◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。
 松本市は、昨年策定をいたしました松本市観光ビジョンの中で、初めて国・地域別の戦略を立てております。策定に当たりましては、観光庁の各種統計や、海外21都市に事務所を有する日本政府観光局のマーケティングデータなどを収集、分析いたしまして、国・地域別の観光客のニーズに対し、松本市の観光資源をどのようにプロモーションしていくかということを明らかにしております。
 現在、観光ビジョンに基づいてプロモーションを進めているところでございますが、5年を目安にビジョンを見直すこととしており、旅行者の満足度など、プロモーションの成果を検証いたします。議員ご提案の旅行者の実態やニーズ等の調査も、この見直しにあわせて実施を検討してまいります。
 以上でございます。

○議長(村上幸雄) 今井議員。

◆15番(今井ゆうすけ) 〔登壇〕
 実施を検討するとご答弁いただきましたので、次の項目に移ります。
 近年、行政においてもビッグデータの活用が始まっております。本市としても、これまで行ってきた独自調査や統計データの活用に加え、官民が保有するビッグデータを活用することで、行政課題の解決につなげることができると言えます。
 民間が保有するビッグデータを通じて得られる情報の具体例をご紹介しますと、携帯電話の基地局情報を活用すれば、例えば株式会社NTTドコモの基地局で言えば、端末から属性として、年代、性別、住居エリア、趣味関心、年収、勤務者率がわかります。電源オフもしくは機内モードにしていない限りはデータを取得可能であり、インバウンドの3割をカバーしているということで、国籍もわかります。それらが物理的には1キロメッシュから、時間的には1時間からわかり、具体的な周遊ルート等が読み取れます。このようにビッグデータを活用することで、詳細で精度が高く、精緻な現状把握が可能となります。
 ほかにも、携帯電話のGPSデータやSNS解析データなど、ビッグデータから得られる情報はさまざまあり、これらを複合的に活用することで、これまでのような独自調査や統計データでは読み取れなかったことがわかるようになり、さまざまな課題解決につながります。
 群馬県は、携帯電話の位置情報から観光客の詳細な動き、属性を分析するということで、KDDI株式会社から得たビッグデータから、旅行者の出発地や日程、滞在時間や宿泊地などを分析し、性別や年齢別、住居地別などに合わせたプロモーションを展開しております。
 これからの行政は、精度の高い施策と効果検証につなげるために、ビッグデータを積極的に活用することで、精度の高い現状把握をする必要があると考えます。ビッグデータの活用で実現することは無限にありますが、例えば日帰り・宿泊別の来訪者数を算出し、どのような旅程で来訪したのかを分析することで、それぞれの来訪者に対する施策の優先順位づけを実施することができます。ほかにも、観光エリアごとの来訪者の時間帯別流入者数を算出して、いつ、どれぐらいの人が観光エリア内に滞在したかを分析することで、滞在時間を延ばすための具体的な施策を実施することができます。
 厳しい財政状況の中、現状や政策課題を迅速かつ的確に把握し、有効な対応策を選択し、市民に信頼される行政を展開するためには、ビッグデータを積極的に活用して、これまで以上に証拠に基づく政策立案を推進する必要があります。
 このように観光に限らず市政全般でのビッグデータの活用を求めますが、まずは携帯電話の使用記録等のビッグデータを観光政策の立案や市内の観光事業者への情報提供などに活用できないでしょうか。

○議長(村上幸雄) 小原商工観光部長。

◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。
 ビッグデータの活用につきましては、平成27年に松本広域連合がKDDI株式会社の携帯電話位置情報による観光動態調査を実施しており、松本地域への旅行者の属性や経路、滞在時間、周遊ルート等を分析しております。この調査結果は、松本地域の自治体、有識者、観光事業者等に提供されまして、多くの観光関係者が旅行者の実態やプロモーションの課題を把握する機会となりました。
 議員ご指摘のとおり、観光客の実態やその課題の把握によって、プロモーションをより効果的に変えていくことができるものと考えております。他の自治体の取り組みなども参考にしながら、先ほど申し上げました松本市観光ビジョンの見直し等の機会に同様の調査ができないか検討してまいります。
 以上です。

○議長(村上幸雄) 今井議員。

◆15番(今井ゆうすけ) 〔登壇〕
 前向きなご答弁をいただきましたので、次の項目に移ります。
 現在、国を挙げてキャッシュレス決済の推進に取り組んでおり、本市としても、松本市商業ビジョンの重点事業に掲げ、松本商工会議所と連携し、個店におけるキャッシュレス環境の整備を進めております。
 しかしながら、公共施設でのキャッシュレス決済は進んでおらず、課題整理もできていない現状です。増加するインバウンドに対する受け入れ環境整備を進め、インバウンドで松本により多くお金を落としてもらいたいものです。
 一般社団法人キャッシュレス推進協議会のキャッシュレス・ロードマップ2019に、各国の最新のキャッシュレス決済比率があります。日本は19.9%である一方、韓国は96.4%、イギリスは68.6%、中国は65.8%となっており、他国はかなり高いです。日本を含め世界じゅうでキャッシュレス化が進んでおり、松本に宿泊している国籍を見ると、ほとんどの国が、日本よりも進んでいる国です。
 このようにキャッシュレス決済はごく普通の決済手段という人が多く来ているので、キャッシュレス決済の推進をすることで、消費購買活動の活性化、利用者の増加、インバウンド需要の拡大、つまりは、今まで落ちなかったお金が落ちると考えます。
 本市の平成30年外国人宿泊者数を見ると、アジア系が54.6%、欧米豪系が22.4%と、アジア系のほうが多いという結果です。一方で、松本城、松本市立博物館、旧開智学校等の外国人観覧者数は、国籍は不明ですが、それぞれ欧米豪系のほうが圧倒的に多いという結果になっております。この矛盾は何なのか、現時点では分析できていないことが課題です。仮にキャッシュレス決済ができるようになれば、例えばウィーチャットペイやアリペイであれば中国、ネッツペイであればシンガポールといったぐあいに、キャッシュレス決済の対象ブランドから国籍が読み取れるようになり、データ収集もできます。
 先ほどの訪日外国人消費動向調査では、訪日外国人1人当たりの旅行支出が出ており、上位は、フランスが24万2,000円、イギリスが23万5,000円、オーストラリアが23万2,000円という順です。ちなみに台湾は12万2,000円となっておりますが、仮に欧米豪系が本市で宿泊をしていないということであれば、宿泊をしてもらう取り組みをすることで、より多くのお金が落ちると言えます。
 また、全国ではキャッシュレス決済の実証実験が進んでおります。福岡市では、民間企業と組んで実証実験を実施。本年度より、市の施設約60施設でLINEペイの導入をしました。そこにコストは発生しておらず、毎年かかってくる手数料も、契約で1年間は無料ということです。公共施設キャッシュレス導入最終報告によると、インバウンド需要の拡大、業務の効率化、消費購買活動の活性化、利用者の増加、利便性の向上、都市の魅力や生活の質の向上について効果があるという結果でした。福岡市は、利便性の向上はもとより、経済的な観点から、まち全体でキャッシュレスを進める姿勢をまずは市が見せることが重要と考えており、進めております。
 本市としても、松本市商業ビジョンの重点事業に掲げている以上、まずは公共施設から導入すべきと考えます。そこで、全ての公共施設、公共交通機関でキャッシュレス決済の導入を求めますが、まずは観光振興、データ収集などを目的に、観光客の利用が多い公共施設においてキャッシュレス化を進めることができないか、本市の見解をお尋ねし、以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○議長(村上幸雄) 小原商工観光部長。

◎商工観光部長(小原直樹) お答えいたします。
 議員にご紹介いただきましたとおり、キャッシュレス化の推進につきましては、消費者の利便性向上や店舗業務の省力化、さらには、増加する外国人観光客に対する受け入れ環境整備を目的に、現在、国を挙げて取り組んでおります。
 本市におきましても、松本市商業ビジョンの重点事業の一つにキャッシュレス化の推進を掲げ、松本商工会議所と連携をしながら、現在、個店におけるキャッシュレス環境の整備を進めております。
 公共の観光施設におきましてもキャッシュレス化を推進するということでございますが、観光客の利便性を向上させ、また、集客、周遊等の伸びも期待できますので、観光振興の観点で大変有効であると認識しております。
 ただ、公共の観光施設のキャッシュレス化を進めるに当たりましては、市全体のルールづくりや公金収納の手続などさまざまな課題もございますことから、まずは他市の事例も参考にしながら、関係部署で研究することが必要と考えております。
 以上でございます。